一切空(苦)真実

父親が、向こう岸に渡ってしまいました。

父は、今生の波乱の修業が終わり、ひと仕事終えて、また暖かな幸せに包まれているでしょうか。

父の最後の式のお天気は、お通夜は晴れ、葬式の日は雨、その翌日は父がいなくなったのが嘘のようなお天気でした。

葬式に来ていただいた和尚様は女性で、会場中に優しいお声のお経が響き渡りました。

波乱に満ちた父親の最後が優しく穏やかであった事と重なり、ありがたく涙があふれました。

お通夜の日に家に帰ると、「洗濯して!」と下の子に頼まれたことを忘れて寝てしまい、翌朝その洗濯物が洗って干してありました。

下の子の優しい気持ちが心底ありがたく。

整えた部屋から家族をお葬式に出したいと思い、散らかった部屋を整えました。

あっという間に、父の最後の式が終わり

父が不在なことに実感がない私は、もらった遺影が開けられないでいます。

父が認知症だと診断されてから毎朝、般若心経を唱えています。その中に人のすべての感情や行為はすべてのものが空(ないもの)だとあります。

父の最後の式で、どうせ無いものなら

色々な事に振り回されず

すべてを明るい方に捉えて

与えられた事を淡々と幸せに過ごして行く

と覚悟を決めました。

 

実家から帰る時のいつもの挨拶

ほな、裕美 また来るしな!

おう、裕美 また来いよ!の父の声が

心に響いて止みません。